内容証明は意思表示を伝えるわけですから、意思表示を確実に伝えたいという全ての場合において有効な効果を及ぼします。はっきり言って無限といってもいいわけですが、代表例となるようなものを挙げていくと・・・

内容証明を出すだけで効果が現れるような場合には以下のようなものがあります。
■契約の解除
■クーリングオフ
■時効の中断 …
ただし、内容証明を出すこと(法的には催告すること)で中断される時効期間は6ヶ月であり、また中断は1度だけしか効力を発揮しません(6ヶ月ごとに内容証明を出して連続して中断させることはできません)。内容証明を出しただけで満足することなく、相手方の出方に準備などもしておく必要があります。
■相殺
■申し込まれた契約の承諾
■詐欺・強迫行為などの取消
■上記行為があった場合の追認
■債務免除の意思表示 …
回収の見込みのない債権をそのまま持っていた場合には課税対象となりますので、見込みのない債権はもっているよりも免除してしまった方が税制上有利になる場合もあります。このような場合には債務免除をしたという意思表示をはっきりさせるという意味で内容証明を使う必要があるでしょう。

直接の効果は望めませんが、こちらの意思表示をはっきりさせることで相手を牽制・威嚇することを狙う内容証明などです。内容証明は単なる郵便物よりは強い意思を示すものという認識が一般ですので、こうした内容証明を送ることで相手に精神的プレッシャーを与える効果があります。これは言う通りにしないとまずいかな」と思わせることができます。
■債権回収
■敷金返還請求
■未払い賃金請求
■不当解雇に対する抗議など
■相手が債務不履行にある場合にする債務履行の請求
■債務が払いきれない場合などに払う意思があることを示す内容証明(その後、分割払いなどを頼む)
■交通事故などの慰謝料請求
■離婚などの慰謝料請求
■セクハラ行為などに対する警告、または慰謝料請求
■不倫相手に対して交際をやめるよう警告するなど
■近隣問題の苦情など(マンション有志一同でマナーの悪い居住者に警告するなどです)
■ペットトラブル …
ペットに関する法務分野も急速に発展しています。ペットがうるさい、ペットが怪我をしたなどの請求に内容証明が使われる場面も出てくるのではないかと思われます。
■ストーカー、DV配偶者などに対する警告 …
警告としても有効(な場合もある)ですが、告訴をする場合にも内容証明などを打って警告していたという事実があることで警察が重い腰をあげやすくなります。

1とも関連しますが、意思表示の中にはある期間内に行わなければならない場合などがあります。また、重複する意思表示の先後が問題となる場合もあります。
しかしながら、私文書などの場合には「確定日付」がないと第三者に対してはその作成の日について完全な証拠力がありません。確定日付の効力は、公正証書の日付、公証人が一定の手続きの下に行った私文書に対する日付ある押印に認められますが、内容証明郵便に押印される郵便局の印にも確定日付の効果が認められます。
■クーリングオフ
■債権譲渡通知を出す場合
■遺留分減殺請求 …
遺留分減殺請求は1年以内に請求しなければならないと決められていますので、それをはっきりさせる点で確定日付をもらう必要性がでてきます。
尚、クーリングオフの論点の場合にたまに「今日は8日目だから業者につくのは明日になるかもしれない。となると、速達で出した方がいいのだろうか。それより業者が知らんぷりしていたらどうしよう」ということなどがあります。これは全く心配無用でクーリングオフは意思を表明した時に効果を生じますので内容証明を出した時点が8日目以内なら問題がありません。業者が何日目に受け取ろうが、あるいは最悪郵便事故で受け取ることがなかったとしても問題はないので慌てず確実に8日以内に通知をするようにしましょう。

内容証明というと往々にしてトラブルと結びつけがちですが、トラブルがなくても使うことは当然できます。遠隔地の人にはっきりと「貴方の持っている土地を売ってほしいので、一箇月以内に返事をしてほしい」などと持ちかけたり、取引の中止をはっきりさせる場合などに使うという手段ももちろんありえます。
その他、最近になって注目を浴びている分野などを見てみましょう。ただし、これらは使われているという一例であり、必ずしも内容証明を出せばいいということにはなりませんので、注意が必要です。
■金融会社などからの違法取りたてをやめさせる …
利息制限法と出資法という法律の間で存在していたグレーゾーンがなくなるということで今後は違法な取りたてなどが増えてくることも考えられます。こうした会社に警告を与える意味でも内容証明は有益でしょう。それでもやまない場合は相手の登録先が都道府県知事であるなら各都道府県庁、財務局長であるのなら各財務局に申し出ましょう。
■離婚後の養育費などの請求 …
厚生年金の分割制度も始まりましたし、離婚などに伴う財産上の請求をはっきりさせる点でも今後内容証明の出番が増えてくるのではないかと思われます。また、養育費の未払いなどの問題も増えつつあり、そうした場面でも内容証明が効果を表すのではないかと思われます。
これ以外にも利用できる機会はゴマンとあり、正直全部のケースを書き連ねることは不可能かと思われます。全然違う分野で話をしていても、「そういう場合には内容証明などで出した方がいいかもしれないですね」と自分が気付くこともよくあるくらいです。
とにかく、相手とちょっと揉めそうでこちらの意思表示をはっきりさせたい、あるいは日付をはっきりさせたいという場合にはすべからく内容証明が使えると覚えておくと便利かと思います。